温暖化 これまでの常識が通用しない時代

2010年現在における、過去100年の1年間の気温上昇の平均を比べたデータがあります。これによると、東京を除く国内の大都市で、約2.4℃。中小規模の都市では、約1℃です。東京においては、平均気温の度合いが大きく、約3.0℃も上昇しています。今後100年間の地球全体の予測では、最大で6.4℃、最小で1.1℃ほど、気温が上昇する可能性が指摘されています。

こういった、データを調べなくても、年々の異常気象や気温上昇、海面上昇などのニュースが一年中報道されています。地球規模で、温暖化が進行していることは誰の目にも明らかです。 「地球規模」と語ってしまうと、事態があまりも大きすぎ、実感が湧かないかもしれません。でも、私たち人間が地球上で活動してきた、小さな、あれやこれやが、大きな問題に発展させてしまったようです。

突発的なゲリラ風雨

温暖化が原因とされる異常気象は、私たちの暮らしにも、身近な問題を起こします。 突発的なゲリラ豪雨をはじめとした、予想のできない天候不順です。 このところの北海道では、冬季間にもかかわらず、雨が降ることが多くなりました。 ほんの数年前の札幌では、11月から3月までの冬の期間に、雨が降ることはほとんどなかったはずです。
かつて、根雪になった大地は雪解けの季節まで氷雪に覆われることが常識でした。地面が見えることは稀なことであり、住宅街のアスファルトがむき出しになったのを見たという記憶はありません。

日本は、昔から雨の多い国です。土が水に流されて堆積した地盤が、生活エリアとして広く利用されています。足元にあるそうした地面は、地域によって非常に不安定です。地震の揺れや大雨に対して、脆い構造となっています。

液状化と地盤沈下

地震などで地盤がゆるみ建物などを沈下させてしまう現象です。液状化しやすい地盤液状化は、3つの要因がそろったときに可能性が高くなるといわれています。どこでも起こるわけではありません。

1 緩い砂地盤
  地盤の硬さを示すN値が以下で、土の粒子の大きさが0.03o〜0.5oの砂地盤(粘土地盤では発生しない)です。海岸や河口付近、埋立地、河川の扇状地などで多くみられます。
2 地下水の位置
  地下水位が地表面から10m以内で、地下水位が浅いほど液状化が起こりやすくなります。
 (戸建ての場合は3mより深ければ安心といわれる)
3 大きな地震の揺れ   震度5以上といわれています。震度が小さくても揺れている時間が長くなると被害が大きくなる傾向が。

液状化現象って?
地球上の物体には、どこにあっても重力がかかります。 自然地盤は、環境によって、時間をかけて堆積されていった土です。計画的に積まれたわけではないので、粒子の大小や雑多な成分が折り重なり、適度な隙間は水と空気に満たされてます。
年月は地盤を強固なものに圧密させるいっぽう、季節による風化、地下水位の上下で不安定となることもあります。
ビールジョッキを用意してどれも1センチの、木片球、麩、ビー玉を適当にバラバラと入れて満たしたとします。木片、麩、ビー玉は、入れたままの順序で安定し、動くことはありません。
コップを細かく揺らします。木片、麩、ビー玉は自由に動き回ります(互いを支えていた摩擦が小さくなった)。制約のない空間では重いものが下に、軽いものが上にいきます。 揺らすのをやめるとバラバラだった3つは、同じもの同士で層をつくります。おそらく下から、ビー玉、木片、麩の順番に。まるで液体のように自由に動きまわるこの物理現象が液状化です。
強い地震は土層に同じ現象を起こします。土の場合、地盤の安定した関係が崩されて、水、空気、土を分離します。

地盤調査の必要性

土というのは、どんな要素で成り立っているかご存知でしょうか。 土は3つの要素から成り立っています。それは、土粒子・空気・水です。 地盤というのは、自然のなすままに堆積しています。気まぐれに、空気を取り込んだり、降った雨が浸み込んだりして、土粒子の中に入り込んでいる。そうした要素が相まって、地盤というものを成立させているのです。 長雨が続けば、土中の水分が増加して不安定になります。地震の揺れ加減によっては、土中の要素が動かされます。

また、岩盤のような硬い地盤であっても、長年の風化によって亀裂が入ることがあります。雨で山が崩れて、家が壊されてしまったというニュースは決して珍しいものではありません。硬い地面であっても、安心はできないということです。四季の気候がはっきりしていて、ときおり大きな地震が発生する北海道。それだけ、地盤が不安定になりやすいということがいえます。

地面の下は、外から見えないので、安全といいきれる土地はありません。隣り合った住宅であっても、場所がほんの少し違っているだけで、地盤構成まったく違うケースも多々あります。 地盤調査をしたと言って、100%確実な安全を買うことは不可能です。しかし、将来の安全の確立を少しでも上げたいのなら、信頼のおける地盤調査をすることをおすすめします。