地盤調査は、どんなときに必要?

「地盤調査」とは、その地盤がどのくらいの強さを持っているかを調べることをいいます。建物を建てるとき、地面の下の状態や強さを確かめるのです。調査結果によって、建物の土台となる基礎の設計が決定されます。 どんな場合に必要かといえば、一定の基準を超える建物を建てるときには必ずしなければいけません。 大事な調査なのですが、数年前までは、地盤調査が行われないことが多々ありました。木造の建物にに見受けらていましたが、これは非常に危険なことです。 一般には、あまり知られていませんが、 平成12年(2000年)の法改正で地盤調査は義務化されました

地盤調査を行わなければいけない場合

建築基準法施行令 第38条の3  [地盤の状況による、基礎の選定]
建築物の基礎の構造は、建築物の構造、形態及び地盤の状況を考慮して国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとしなければならない。

建築基準法施行令 第93条  [地盤及び基礎ぐい]
地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力は、 国土交通大臣が定める方法によって、地盤調査を行い、その結果に基づいて定めなければならない。(ただし書きあり)

告示第1347号(平成12年5月23日)  [基礎の構造方法の定め方]
建築基準法施行令第38条第3項に規定する建築物の基礎の構造は、地盤の長期に生ずる力に対する許容応力度が20kN/m2未満の場合にあっては基礎ぐいを用いた構造と、20kN/m2以上30kN/m2未満の場合にあっては基礎ぐいを用いた構造又はべた基礎と、30kN/m2以上の場合にあっては基礎ぐいを用いた構造、べた基礎又は布基礎としなければならない。 (一部省略) 許容応力度によって、基礎を選ばなくてはいけない

 地盤調査を行わないと許容応力度はわからない
 →→許容応力度を知るためには、地盤調査を行わなければならない


告示第1113号(平成13年7月2日)  [地盤調査の方法]
地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力を求めるための地整調査の方法並びにその結果に基づき地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力を定める方法等を定める件。


必ずしも義務ではないケース

上記の建築基準法施行令をみると、どんな建築物でも地盤調査が必要と思われるかも知れませんが、第38条の3には続きがあります。

建築基準法施行令 第38条の3
建築物の基礎の構造は、建築物の構造、形態及び地盤の状況を考慮して国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとしなければならない。
この場合において、高さ13メートル又は延べ面積3,000平方メートルを超える建築物で、当該建築物に作用する荷重が最下階の床面積1平方メートルにつき100キロニュートンを超えるものにあつては、基礎の底部(基礎ぐいを使用する場合にあつては、当該基礎ぐいの先端)を良好な地盤に達することとしなければならない。

「高さ13メートル又は延べ面積3,000平方メートルを超える建築物」とは、ずいぶん大きな建物ですね。これには、3階を越える鉄筋住宅や、マンションのような、中型〜大型の建物が該当します。一般の木造2階建てなどの住宅は、ほとんど当てはまらないことになります。

省かれる地盤調査

地盤調査が、事実上義務化されたのは、平成12〜13年にかけてのことです。 規模の大きな建築物であっても、この時期よりも以前に建てられた建物は、地盤調査が行われていない可能性があります。現在、売られている建物についても、地盤調査がなされていないことも考えられます。

調査がなされていないのは、なぜでしょうか。「業者さんが法改正を知らない」「地盤調査コストを省く」、こういったことが、主な理由だと考えられます。比較的小規模な一般の住宅の場合、地盤調査の施工は業者にまかされています。建物が小型で地盤への影響が少ないこと。本格的な調査には大きな費用が必要なこと。こういったことから、軽微な地盤調査で十分とされていますが、これは危険なことです。

2020年7月 宅地建物取引業法施行規則が一部改正
 重要事項説明書には水防法(昭和24年法律第196号)の規定に基づいて作成され範囲のハザードマップを添付して、当該物件の概ねの位置を示すことが義務付けられています。
 ですが、がけ崩れや家屋倒壊、液状化による不同沈下などの損害をもたらす地盤強度(地耐力)についての具体的な説明方法や範囲については定めがありません。そのため、不動産屋さんは説明する義務がないと勘違いしてしまってます。あくまで「説明方法や範囲が、宅地建物取引業法で定められていない」のであって「説明の義務はある」のです。
 購入後に地耐力不足が発覚し、仲介業者の調査不足を提訴されるケースが多くあります。裁判では、原告の主張が通り、「仲介業者が地耐力に関して説明を怠ったことは、説明義務違反である」と多額の賠償金支払いが生じたケースがあります。
 建築業者だけでなく、不動産業者さんにも調査や説明の義務があります。たいてい無償の既存資料で足りますがケースによっては地質調査をやっておいたほうが無難です。

一般住宅であっても、ときには、規模の大きな調査が必要な場合があります。それは地盤によって決まります。 不同沈下の起こりやすい軟弱地盤や、災害に弱い不安定な地盤。これらは、住宅の設計業者には判断がつかないことがあります。

通常の住宅であれば、地盤から2mほどまで把握できれば大丈夫といわれますが、スウェーデンサウンディングなどを行いって、2mまで調査したから安心と思ってはいけません。地盤の影響範囲は基礎幅の2倍です。2mでおさまるものではありません。また、地盤の不同沈下の原因はさまざまで、2mより深い地層が沈むケースも見当たります。せめて、8mまでは確かめた上で基礎設計を行って欲しいものです。

住宅の建築後に、地盤沈下を引き起こし、ボーリング調査をあわてて依頼してくるというケースが、ときおりあります。これも事前の調査が行き届かず、不完全な情報で基礎の設計を行った結果でしょう。

地盤調査を行わない限り、地盤の強さは分かりません。法的な義務がないからといって、安全が保障されているわけではないのです。昔から住んでいた土地だからといって、永久に安全な地盤とは限りません。 地盤調査を行っていない建物には十分ご注意しつつ、これから建てる建物では、できるだけ地盤調査をするようにしてください。 まずは、知り合いの 地質調査会社かボーリング会社への相談をオススメします

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